温泉地としてもよく知られる静岡県伊東市のシンボル、大室山。
山なのに木がない、まるでお椀を伏せたような〝つるん〟とした特徴的なシルエット。頂には直径300mほどのぽっかり窪んだ噴火口を持ち、他にはない珍しい魅力でいっぱいです。山頂から楽しめる360°大パノラマの眺望も圧巻でした!
大室山お鉢巡りで大パノラマと空中散歩
お鉢巡りとは、山の火口周りをぐるっと一周すること。大室山の一周は約1km、所要時間は20〜30分ほどなので比較的カジュアルにお散歩できます。
大室山の山頂へはリフトに乗って向かいます。山全体が国の天然記念物に指定されており、現在は環境保全のため徒歩での登山は禁止となっています。思いのほか急勾配を移動するので、高所が苦手な方はもしかすると下りリフトは特に怖いなぁと感じてしまう、かもしれません…😣
なお、リフトには犬(体重15kg, 体高45㎝まで)も同伴可能です。山頂で一緒に楽しむ様子も多く見られました!
-出典: ワンちゃんは乗れますか?|大室山登山リフトオフィシャルサイト
頂上に到着すると、まず目を引くのが深さ70mの大きな〝ぽっかり穴〟! なんと窪みの中ではアーチェリーが行われていて、とても不思議な非日常すぎる光景です。弓矢などの道具類はレンタルでき、逆に持ち込みは禁止とのこと。
山頂に突如あらわる〝ぽっかり穴〟の正体は、、?
大室山は伊豆東部火山群のひとつ。約4,000年前の噴火により、現在のような真ん中がぽっかりと窪んだすり鉢状の噴火口を持つようになりました。
このような火山は地質学的に〝スコリア丘〟と呼ばれ、火山噴出物(しぶき)の一種であるスコリアが降り積もってできた、お椀を伏せたような形の小さな丘のことを指します。
スコリアは噴火口を中心にしてドーナツ型の土手を作るように降り注ぎ、山を大きく形成していきます。中心部の火口はスコリアを噴出したところなので、窪んだまま残されるというのが〝ぽっかり穴〟ができた所以のようです。
遮るものがない絶景を眺めながらのんびり歩く
大室山お鉢巡りでは、中心にある火口はもちろん、海や山、伊豆の街並みを遮るものなく一度に堪能できます。天気が良いと、富士山をはじめとする南アルプスの山々や相模湾、太平洋に浮かぶ伊豆諸島や房総半島まで、360°大パノラマの絶景を贅沢に望めます。
写真撮影の面白みとして、〝ぽっかり穴〟側に意識を向けてシャッターを切ると、「ここどこ? どうなってるの?! 」というような、大室山らしさ全開の〝他とは一味違う珍しい画〟に出会うことができるので楽しいです。
今回の反省点は、撮影時50mmの単焦点レンズしか持っていなかったため、撮れる画のバリエーションが限られてしまったのが少し残念でした。大パノラマの眺望なので広角〜中望遠あたりのズームレンズを持っていたらもっと幅が広がったかもなと思いました。
ただ、のーーんびり景色を見ながらゆったーり歩くだけでも日々の疲れなどが癒されていく場所だと思うので、いっそヒーリングに重点を置いてみるのも良いかもしれないですね。
大室山の兄弟?! 小室山とは?
大室山の近くには〈小室山〉という、大室山より一回り小さな火山(同じくスコリア丘)もあります。 何も知らないと、「小室山は大室山の小さい版かな? 」と単純に考えてしまいがちですが、それぞれ特色がありました。
- 大室山[標高 580m]
- 環境保全のため徒歩での登山は禁止
- 2人乗りリフト
- 山焼きをするため木は生えていない
- (若干)伊豆七島が近い
- 山頂には素朴系売店あり
- 山麓には1500本の桜〈さくらの里〉
- 小室山[標高 321m]
- 徒歩での登山OK! (20-30分)
- 1人乗りリフト
- 普通に木が生えているので山っぽい
- (若干)富士山が近い
- 山頂にはお洒落系カフェあり
- 山麓にはツツジの名所〈小室山公園〉
小室山にはまだ足を運んだことがなく…、ざっくりとした比較になってしまいますが、どちらも大パノラマの絶景は間違いなさそうです。小室山公園にはお子様に大人気の〈恐竜広場〉があったり、巨大な恐竜オブジェは写真好きにも楽しいかも!? 火口でアーチェリーを行っているシュールな光景は大室山だけだったり、両方の山に違った魅力があって面白い! と思いました😊
季節によって山肌の色や雰囲気ががらりと変わるのも大室山の魅力のひとつ。わたしは12月に訪れたこともあり、個人的には「まるで柴犬の毛の中にいるみたい! 」な気分でした。
毎年1回(2月頃)山の害虫駆除や保全のために行われるという〝山焼き〟は観光行事としても人気があるし、季節ごとの様々な変化を求めて再訪してみるのも良さそうです。